タイの非公開の株式会社(บริษัทจำกัด)では、附属定款に定めがなければ、株主総会の採決は挙手で行い、持ち株数に関係なく株主1人に1票です(民商法典第1182条・第1190条)。
持ち株数どおりの「1株1票」で数えるには、2人以上の株主が秘密投票を求める必要があります。
株主は売買や相続で増えることがあるため、親会社側は株主を2名にしておくこと、そして附属定款を確かめておくことが大切です。
挙手なら1人1票、秘密投票なら1株1票
民商法典では、株主総会の採決は挙手が原則です(第1190条)。
挙手では、本人が出席しても代理人が出席しても、株主1人につき1票です(第1182条)。
挙手の結果が宣言される前か宣言されるときに、2人以上の株主が求めれば秘密投票になり、1株につき1票で数えます。
可否同数のときは、議長が決定票を持ちます(第1193条)。
ただし、附属定款に異なる定めがあれば、そちらが優先します(第1177条)。
なお、公開株式会社(บริษัทมหาชนจำกัด)は、公開株式会社法により、はじめから1株1票です。
持ち株90%でも、採決で負けることがある
たとえば、親会社が90株、タイ人の株主が10株を持つ会社があるとします。
| 持ち株 | 挙手での票 | |
|---|---|---|
| 親会社(1名) | 90株 | 1票 |
| タイ側の株主(1名のとき) | 10株 | 1票 |
| タイ側の株主(10名に分かれたとき) | 1株ずつ、計10株 | 10票 |
タイ側の10株が10人に1株ずつ渡ると、挙手では親会社1票、タイ側10票になります。
親会社は1名なので、秘密投票を求めることもできません。
普通決議だけでなく、4分の3が必要な特別決議(第1194条)も挙手で数えるため、附属定款を変えて対策することも難しくなります。
株主は、売買と相続で増える
附属定款で制限していなければ、株式は会社の同意なしに譲渡できます(第1129条)。
譲渡の書類が決まった形式を満たしていれば、会社は株主名簿への記載を拒めません。
附属定款で譲渡を制限していても、相続は防げません。
株式は、株主が亡くなったときに相続人に移り(最高裁判決 310/2510)、会社は相続人を株主として登録しなければなりません(第1132条)。
株式が複数あれば、相続人が分けて持つこともできます(最高裁判決 776/2533)。
相続は譲渡ではないため、附属定款の譲渡制限は及ばないと考えられています(強制競売で取得した株式に譲渡制限を主張できないとした最高裁判決 2177/2522 を参照)。
親会社側は、株主を2名にしておく
親会社側の株主が2名いれば、総会に出席して秘密投票を求め、1株1票で決めることができます。
附属定款で、採決はすべて1株1票で行うと定めておけば、この問題はそもそも起きません(第1177条)。
附属定款の変更には特別決議が必要なので、支配が保てているうちに見直しておくことが大切です。
また、2023年2月7日施行の改正で、総会の定足数は「2人以上の株主(代理人を含む)で、資本金の4分の1以上」と定められました(第1178条)。
親会社1名だけでは、親会社側だけで総会を成立させることもできません。
2名とも、別々の人が出席できるようにしておくと安心です。
自社と相手の附属定款を確かめる
まず、自社が附属定款を登記しているか、登記していれば採決の方法をどう定めているかを確かめましょう。
日本本社に附属定款の控えがない、ということも少なくありません。
合弁の相手や出資を考えている会社についても、株主名簿で株主の顔ぶれを、附属定款で採決の決め方を確かめておくと安心です。
附属定款・株主名簿、取り寄せます
弊社では、登記簿謄本・監査済み決算書・株主名簿の3点を、タイ商務省事業開発局(DBD)の電子認証付きPDF(原本の公式な写し)のまま、原則2営業日でお届けします。
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オプション:附属定款(3,000円+消費税)
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2026年10月26日時点の情報です。