タイの会社の記名株式を譲渡するときは、書面にして、譲渡する人と譲り受ける人が署名し、さらに証人1人以上が署名を証明しなければなりません。
この形式を欠いた譲渡は無効です(民商法典第1129条2項)。
株主名簿に名前が載っていても、証人の署名がない譲渡なら、譲り受けた人は株主になれないとした最高裁判決があります(最高裁判決 1086/2512)。
譲渡の書類に必要な4つのこと
記名株式の譲渡の書類には、次のことが必要です(第1129条2項)。
- 書面にすること
- 譲渡する人と、譲り受ける人の両方が署名すること
- 証人1人以上が、その署名を証明して署名すること
- 譲渡する株式の番号を書くこと
はじめの3つを欠くと、譲渡は無効になります。
証人の署名がなければ、株主名簿に載っていても株主ではない
株式50株の譲渡で、書面と双方の署名はあったものの、証人の署名がなかった事件があります。
会社は譲り受けた人の名前を株主名簿に載せ、株主として総会にも呼んでいましたが、最高裁は、譲渡は無効で、その人は法律上の株主ではないと判断しました(最高裁判決 1086/2512)。
株券をまだ発行していない会社でも、記名株式の譲渡にはこの形式が必要で、証人の署名がない譲渡は無効とされています(最高裁判決 523/2545)。
株主名簿に載るまでは、会社に主張できない
正しい形式で譲渡しても、株主名簿に譲り受けた人の名前と住所が記載されるまでは、会社やほかの人に対して株主だと主張できません(第1129条3項)。
株主名簿に記載される前の譲受人は株主として扱われず、臨時株主総会に出ることも、その決議の取り消しを求めることもできないとされた例があります(最高裁判決 1253/2537)。
会社が記載を拒んだときは
附属定款に「譲渡には会社の承認が必要」といった定めがなければ、株式の譲渡に会社の同意はいりません(第1129条1項)。
正しい形式で譲渡し、会社に株主名簿への記載を求めたのに会社が応じなかった事件では、譲り受けた人が会社を訴えることが認められました(最高裁判決 9483/2558)。
附属定款に譲渡の制限がある場合は、その手続きも守る必要があります。
売買の約束そのものが無効になるわけではない
株式の売買の契約と、株式の譲渡の手続きは別のものです。
第1129条2項は譲渡の形式を決めたもので、売買の契約の形式ではないとされています(最高裁判決 11883/2554)。
ただし、正しい形式で譲渡するまでは、買った人が株主として扱われることはありません。
譲渡のあとに確かめたいこと
- 譲渡の書類に、証人の署名と株式の番号があるか
- 附属定款に譲渡の制限があれば、その手続きを守ったか
- 会社の株主名簿に、譲り受けた人の名前と住所が記載されたか
- 次の定例株主総会のあとに登記官へ送られる株主名簿の写しにも、反映されているか
株主名簿の写しは、取締役が毎年の定例株主総会から14日以内に登記官へ送ることになっています(第1139条)。
合弁の持ち分を買い取ったときや、株主を入れ替えたときは、株主名簿の写しを取り寄せて、譲渡がきちんと反映されているかを確かめておくと安心です(タイ子会社の株主名簿、最後に確かめたのはいつですか)。
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2026年10月27日時点の情報です。