タイの会社の株主が亡くなると、その株式は亡くなったときに相続人のものになります(最高裁判決 310/2510)。
会社は、証拠を示した相続人を株主として登録しなければならず(民商法典第1132条)、附属定款で株式の譲渡を制限していても、相続は止められないと考えられています。
相続人が何人かいれば株式は分けて持つこともでき(最高裁判決 776/2533)、1人だった株主が何人にも増えることがあります。
株式は、亡くなったときに相続人のものになる
株式は、株主が亡くなった時点で相続人に移ります。
株主名簿に登録される前でも、相続人が株主総会の特別決議の取り消しを求めることを認めた判例があります(最高裁判決 310/2510)。
遺言がなければ、法律で決まった相続人に移ります。
会社は、相続人の登録を断れない
株主の死亡で株式を取得した人が、株券と証拠を示して求めれば、会社はその人を株主として登録しなければなりません(第1132条)。
相続は譲渡ではないため、附属定款の「株式の譲渡には取締役会の承認が必要」といった制限は及ばないと考えられています(強制競売で取得した株式に譲渡制限を主張できないとした最高裁判決 2177/2522 を参照)。
1人の株主が、何人にも分かれることがある
株式が何株もあれば、相続人がそれぞれ分けて持つことができます(最高裁判決 776/2533)。
1株を何人かで分けることはできませんが(第1118条)、10株なら10人に分かれることもあり得ます。
| 亡くなる前 | 相続のあと(例) | |
|---|---|---|
| タイ側の株主 | 個人1名・10株 | 相続人3名・3株、3株、4株 |
| 挙手での票 | 1票 | 3票 |
附属定款に定めがなければ、株主総会の採決は挙手で1人1票なので、株主が増えると採決の結果も変わり得ます(タイの株主総会は「挙手で1人1票」が原則)。
相続の手続きが終わるまで、その株式は総会で使えない
相続人が株主として総会に出て議決権を使うには、株主名簿への登録が必要です。
相続人の間で話がまとまらないときなどは、裁判所に遺産管理人(ผู้จัดการมรดก)を選んでもらうことになり、手続きには数か月かかることがあります。
その間、亡くなった株主の株式は総会で使えません。
株主総会の定足数は、「2人以上の株主(代理人を含む)で、資本金の4分の1以上」です(第1178条)。
亡くなった株主が大きな割合の株式を持っていたり、ほかの株主が少なかったりすると、総会を開けなくなるおそれがあります。
日本本社が、今のうちに確かめておきたいこと
- タイ子会社や合弁会社に、個人の株主が何人いて、それぞれ何株を持っているか
- 附属定款で、採決の方法や株式の扱いをどう定めているか
- 親会社側の株主が2名いて、総会を開けるか
設立から年数がたった会社ほど、個人の株主の相続は現実の問題になります。
附属定款や株主の構成を見直すときは、タイの弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
相続で株主が替わったかどうかは、株主名簿で確かめられます。
株主名簿は定期的に確かめておくと安心です(タイ子会社の株主名簿、最後に確かめたのはいつですか)。
株主名簿・附属定款、取り寄せます
弊社では、登記簿謄本・監査済み決算書・株主名簿の3点を、タイ商務省事業開発局(DBD)の電子認証付きPDF(原本の公式な写し)のまま、原則2営業日でお届けします。
費用は3点まとめて13,200円+消費税です。
附属定款も、オプション(3,000円+消費税)で取り寄せます。
→ タイ法人の登記簿謄本・監査済み決算書・株主名簿の取得代行
関連記事:
気になるあの会社の「タイ側の株主」は誰?
タイの株主総会は「挙手で1人1票」が原則
タイ子会社の株主名簿、最後に確かめたのはいつですか
実際の対応は、タイの弁護士にもご確認ください。
2026年10月26日時点の情報です。