タイの日系企業では、駐在員のタイでの個人所得税を手当として会社が負担するケースが見られます。
この手当は、タイでは個人の所得とみなされますので、追加で所得税がかかって来ます。
この追加された所得税をさらに会社が負担すると、当然さらに所得税がかかって来ます。
さらに追加された所得税を・・・
これでは永遠に終わらないように思えますが、所得税率は1よりも小さいため、補填すべき手当と所得税追加分は、計算するごとにだんだん小さくなって行きゼロに限りなく近づきます。
すなわち最終的に、会社が負担する手当の額と、納付すべき所得税額が等しくなります。
これを所得税のグロスアップ計算と呼びます。
注:本記事の数値例は、記事作成当時の2015年度版タイ個人所得税計算機に基づくものです。グロスアップ計算の仕組み自体は現在も同じですが、社会保険料、所得控除額、税率区分等は年度により異なります。実際の計算には、該当年度の最新の税制・控除額をご確認ください。
年収180万バーツ扶養家族なしの場合
タイ個人所得税計算機 2015年度版に年収180万バーツを当てはめてみると、年間の所得税額は290,250バーツとなります。
| 年収 | 1,800,000 | |
| 社会保険料控除 | -9,000 | |
| 経費控除・本人控除 | -90,000 | |
| 課税対象額 | 税率 | 1,701,000 |
| 150,000バーツ未満 | 0% | 0 |
| 300,000バーツ未満 | 5% | 7,500 |
| 500,000バーツ未満 | 10% | 20,000 |
| 750,000バーツ未満 | 15% | 37,500 |
| 1,000,000バーツ未満 | 20% | 50,000 |
| 2,000,000バーツ未満 | 25% | 175,250 |
| 4,000,000バーツ未満 | 30% | 0 |
| 4,000,000バーツ以上 | 35% | 0 |
| 年間所得税 | 290,250 | |
この290,250バーツを手当として支給すると、年収は 2,090,250バーツとなり、新しい所得税額は362,813バーツとなります。
つまり納付すべき税額が72,563バーツ増えたことになります。
これをさらに会社が手当として支給すると、さらに所得税が追加されますので、実際に繰り返してみましょう。
| 手当増分 | 所得税増分 | 備考 | |
| 1回目 | 290,250 | 72,563 | 所得が290,250バーツ増加することにより、所得税が72,563バーツ増加 |
| 2回目 | 72,563 | 21,331 | 72,563バーツをさらに手当として支給すると、所得税がさらに21,331バーツ増加 |
| 3回目 | 21331 | 6399 | 以下同じ |
| 4回目 | 6399 | 1920 | |
| 5回目 | 1920 | 576 | |
| 6回目 | 576 | 173 | |
| 7回目 | 173 | 52 | |
| 8回目 | 52 | 15 | |
| 9回目 | 15 | 5 | |
| 10回目 | 5 | 1 | |
| 11回目 | 1 | 1 | |
| 12回目 | 1 | 0 | |
| 合計 | 393,286 |
12回計算を繰り返すと、所得税の増加が止まりました。
手当増分を合計すると、393,286バーツとなります。
すなわち、年収180万バーツに393,286バーツの手当を加えた場合、個人所得税額も393,286バーツになるであろうということです。
再びタイ個人所得税計算機 2015年度版に、180万バーツに393,286バーツを加えた2,193,286バーツを入れてみましょう。
所得税額は393,286バーツになりました。
これでタイの個人所得税を全て会社が負担して、かつ正しい納税額が計算できたことになります。
※サタン単位で正確に計算するのであれば、393,285バーツ75サタンの手当を上乗せすると、納付すべき所得税も393,285バーツ75サタン(25サタン単位で切り上げ)となります。
上記は、駐在員本人はもちろんですが、日本本社人事部が把握しておくべき事項です。